鉄オタ税理士のブログ
3.232020
農協・市役所・商工会等では申告の相談・受付はできません!
2020年3月23日
新型コロナウィルスの感染拡大により、令和元年分の所得税の確定申告期限及び個人事業者の消費税の確定申告期限が
4月16日まで延長になりました。
例年申告時期に、窓口へ相談に行っていた納税者も1か月の余裕があると思って安心していること思います。
しかし気を付けて下さい。3月17日以降は、所得税の確定申告の相談・受付窓口は各税務署のみです。
つまり3月16日まで市役所や商工会、農協などで気軽に相談していた会場はもうありません。
実際3月17日以降に市役所へ行った方が門前払いされたケースも聞き及んでます。
これは決してウィルスの感染を避けるために自粛しているとか、納税者に意地悪しているわけではなく「法律」で
そう決められているからです。
税理士法では、税務書類の作成(相談)は「税理士(または税理士法人)」に限られております(独占業務)
しかしそれでは所得税の申告時期のニーズに対応できないため、税理士法第50条で臨時に、地公共団体、商工会、農協等
に限って無報酬かつ期間を限定することを条件に申請に基づき、国税局長が許可を与えることができることになっています。
これを通常「臨時税理士」と呼んでいます。
毎年市役所で、国税である所得税の確定申告ができるのは、まさにこの税理士法の例外規定があるためです。
そして今年も各地方公共団体、農協等に対し3月16日までの期限付きで国税局長が許可を与えていたところでした。
そこへきて突然のコロナウィルス対策での申告期限延長です。
しかし市役所等の「臨時税理士」の許可の期限は3月16日で切れてしまいますので、農協等がいくら税務相談に対応して、
申告書を作成してあげたくとも、法律上許されないのです。
またこの「臨時税理士」は最長で2か月しか許可できないことも法律で記されています。
延長手続きの時間がなかったこともあります。
というわけで、3月17日以降現状では「臨時税理士」は皆無のようで、所得税の申告相談・受付は各税務署しかないのが
実情です。
申告期限延長を発表する前に、この「臨時税理士」の期限を2か月を超えて延長できる旨法律で定めれば、このような混乱は
おこらなかったような気がしてなりません、
もうひとつ気になることがあります。
納期限雄延長に伴い、地方税も含めてすべての課税スケジュールが順延されている点です。
地方税(住民税)は、所得税の確定申告を受けて決定賦課されます。
そして「特別徴収」(給与天引き)の方は5月中旬に各事業所に、従業員の住民税額の通知をしているのが常です。
「普通徴収」(自分で納付)も6月初めには各自に通知します。
しかしこのスケジュールが所得税の納期限の延長に伴い、ずれてきます。
否、ずれずに従来の時期にとりあえずは1度通知しますが、その後4月ギリギリに所得税の確定申告したケースなどでは、
訂正の再通知が入るようです。
ここでも混乱による行政側の間違い、又は納税者側(特に特別徴収する事業者)が訂正を気付かずに誤った徴収・支払を
しないか心配です。
例えば最初に「特別徴収」の通知金額で引いた後、4月ギリギリの申告書は「特別徴収額」が増額となる通知が送られてくる
ことが考えられます。
この場合企業の事務担当者が気付かないと、納付漏れを起こしてしまいます。
場合によっては「延滞税」が発生する可能性もあります。
今回のケース、住民税の特別徴収の事務を担当している方は、5月に各人の特別徴収額の通知を受け取った後、6月に入って
もう一度通知書が来ることを想定しておいたほうが良さそうです。